【フレグランスプランツ】香りのする植物で心地よい庭づくり
街を歩いているとき、ふとジンチョウゲやキンモクセイなどの植物の香りが鼻をかすめると、一瞬にして幼いころに訪れた祖母の家を思い出したり、元気よく歩いた通学路が頭に思い浮かぶ…なんてことを体験した方も多いのではないでしょうか?
人間の五感の中でも「嗅覚」は唯一、大脳辺縁系に直接働きかけるものだそう。大脳辺縁系には海馬と呼ばれる記憶をつかさどる部位があるため、香りの記憶は人間の記憶に鮮烈に残りやすいのです。
今回は、私たちの身近にある植物の特徴の中でも「香り」に注目した記事をお届けします。ぜひ香りのする植物を、五感に訴える心地よいお庭づくりに役立ててみてくださいね。
【もくじ】
【① 植物の香りと効果】
【② 庭やエクステリアで香りのする植物(フレグランスプランツ)を効果的に使おう】
【③ おすすめのフレグランスプランツ】
【④ まとめ】
【① 植物の香りと効果】
バラの花の香りで気分が華やいだり新緑の香りで清々しい気持ちになったりと、自然の中はもちろん街中を歩いていてもふとした植物の香りが私たちの感情に働きかけてくることって結構多いのではないでしょうか?植物の香りは単純に良い匂いだなと感じるだけでなく、イライラを鎮めたりリフレッシュしたり集中力を高めるなどの精神的効果や、以前のブログでもお伝えしたようにハーブやスパイスには血液循環を良くするなど肉体面への効果も期待できるんです。
【関連記事】
・【寒い冬を乗り切ろう!】庭で育てた植物を使った健康づくり
また、最近の研究では香りが『認知症』や『物忘れ』の予防になるのではないかとも言われているそう。香りの情報が伝わる大脳辺縁系には記憶をつかさどる海馬という部位があり、嗅覚を刺激することで間接的に記憶力が活性化することにつながります!この研究は鳥取大学でエッセンシャルオイルを使用して行われたものですが、エッセンシャルオイルとはもともと植物から抽出されたもの。自宅の庭や街中でも意識して嗅覚を働かせることが、日々の健康な生活にもつながりそうですよね!
【② 庭やエクステリアで香りのする植物(フレグランスプランツ)を効果的に使おう】
植木や草花などの植物やその植物を効果的に取り入れた外構やお庭って、人間の五感に訴えかけてくるものが大きいですよね。庭を見て木々がそよぐ音を聞き、草花を香りを感じて果実を収穫して味わい手入れの為に土に触れる。
このように、お庭やエクステリアでは五感のすべてをフル活用することができるんです!その中でも様々な効用のある植物の香りを効果的に感じるためのポイントをいくつかお伝えします。
【②-1 家族が留まる場所に植える】
ウッドデッキやタイルテラスなど、家族が集まってゆったりと過ごす場所にフレグランスプランツを植えるのがおすすめです。香りがあることでよりリラックスでき、家族で過ごした楽しい時間と香りがセットで思い出に残ることでしょう。
【②-2 来訪者が立ち止まる場所に植える】
インターホンの周辺や玄関ポーチの近くなど来訪者が少しの間立ち止まる場所にフレグランスプランツを植えてみてはいかがでしょうか。来訪者に良い印象を持ってもらえるだけでなく、香りが会話のきっかけになるなどコミュニケーションも生まれますよね!
【②-3 場所に合った植物と植え方を選ぶ】
アプローチなど人が歩く場所には、歩くときに触れることで香りが広がるようにグラウンドカバープランツとして香りのする植物を取り入れたり、ウッドデッキやテラスなど地面から高さのある場所では花壇やプランターなどにフレグランスプランツを植えて人と植物の距離を近づけるなど、その場所に合った植物の種類と植え方を選ぶようにしましょう。
【②-4 香る時期を把握しよう】
キンモクセイやジンチョウゲなど多くの人が知っていて強めの香りの植物なら問題無いのですが、ふんわりと優しく香るような植物の場合はせっかく植えたのに家族の誰も気づかないままに香りの時期が終わってしまった…なんてことも起こりかねません。花や葉などどこが香るのか、いつ香るのかをカレンダーなどに書いて把握しておくなど『香りの見える化』をおすすめします。
【③ おすすめのフレグランスプランツ】
香りのする植物といってもたくさんの種類がありますよね。その中でも、今回は特におススメの4種類をご紹介させていただきます。その他のフレグランスプランツはまた別の機会にお伝えしますので、楽しみに待っていてくださいね。
【③-1 カラタネオガタマ】 モクレン科オガタマノキ属
5~6月に咲く薄黄色のポテっとした肉厚の花から甘く上品な香りがするのが「カラタネオガタマ」。
別名でバナナツリーとも呼ばれ、花の香りがバナナに例えられることが多いフレグランスプランツです。バナナほど甘い香りではなく、もう少し優しくて品のある香りだと筆者は思うのですが…そこは好みがありますよね。近所の庭先や花苗屋さんで開花していえるのを見掛けたらぜひ一度香りを確かめてみてくださいね。
また、カラタネオガタマのなかでも「ポートワイン」という赤紫色の花をつける品種があり、こちらも良い香りがしますので比較してみても良いかもしれません。カラタネオガタマは中国原産のモクレンの仲間なのですが、モクレンとは違って常緑樹なので冬場も花壇が寂しくなくなります。萌芽力が強くて刈り込みにも耐える植物ですので生垣にするのもおすすめですよ。
【③-2 セイヨウバイカウツギ ‘ベルエトワール’】 アジサイ科バイカウツギ属
とても良い香りの花を5~6月に咲かせてくれる「セイヨウバイカウツギ ‘ベルエトワール’」。数多いウツギの種類の中でもダントツに花付きが良く、香りも見事です。白くふわりとした花は繊細でどことなくバラにも似た姿で育てるのが難しそうに感じるかもしれませんが、実はとても強健な性質が特徴なんです。暑さ寒さに強く、日向でも日陰でも花付きが良いのでお庭の色々な場所で楽しむことができますよ。
バイカウツギは昔から茶花としても利用されており、水揚げが良く切り花としても優秀です。お庭で咲いた花を摘み取って、季節の香りを部屋の中で楽しむことも可能ですよ。
【③-3 バラ ‘サニーノックアウト’】 バラ科バラ属
バラって一度は庭に植えてみたいお花ですよね。見た目も美しく香りが良い事も多くの人が知っています。でもなんだかお手入れが大変そう…というのも多くの人が知っていることですよね!?
そんなバラの中に「修景バラ」という分類があるのはご存じでしょうか。性質が強くて花がたくさん咲いてなおかつ他のバラに比べて耐病性に優れている、そんなバラをまとめた「修景バラ」というカテゴリーがあるのです。そんな修景バラの中でも強い香りを楽しむことができるのが、この‘サニーノックアウト’という品種。春~秋まで次々と花を咲かせる四季咲性で、咲き始めの明るい黄色がしばらくすると白っぽく変色しますので、一株で2色の花が咲いているような楽しみがあるのも特徴です。
これまでバラの管理が怖くて手を出せなかった方、ぜひ一度挑戦してみてくださいね。しかしながら、いくら管理が楽といってもバラはバラですので一般的な管理は必要ですよ。
【③-4 ヒマラヤユキノシタ】 ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属
まだ寒さの残る2月頃に鮮やかなピンクや清楚な白色の花を咲かせる「ヒマラヤユキノシタ」。4月頃までお庭や花壇を明るく彩ってくれる名脇役です。その花からはまるで桜餅を思わせるような甘く爽やかな香りがほのかに香ります。耐寒性に優れており常緑な事からグランドカバープランツとしてもとても優秀!
花が咲き終わったら伸びた花茎を根元から切り落としましょう。また、下の方の葉も茶色く枯れてきた場合はこまめに取り除いて風通しを良くするようにしてください。ほったらかしにしていると株が蒸れてしまい、カビが生える原因となってしましますよ。
【④ まとめ】
いかがでしたでしょうか。
人によって香りの好き嫌いはあるでしょうし、植物の香りの種類や強さも多種多様です。でも、生活の中の1ページに自分好みの良い香りがあるって、とても心豊かで癒されますよね。
最近では市販の芳香剤やフレグランスで手軽に自分好みの香りが手に入ってしまうのですが、せっかくお庭やエクステリアに植物を植えるスペースがあるのですから、季節ごとの自然な香りを日々の暮らしにぜひ取り入れてみてくださいね!
【関連記事 植栽・グリーン】
・【エクステリアや庭をおしゃれに!】ドライガーデンに合う植物たち
・【冬のエクステリア・ガーデンを彩る】寒さに強い草花や植物たち
・植えっぱなしで大丈夫!【庭を彩る秋植え宿根草・多年草】
・庭で育てる!【秋植え野菜のプランターガーデニング】
・【知っているようで意外と知らない!?】庭の水やりをマスターしよう!
・お庭やエクステリアで見つけてみよう!【遊べる!使える!雑草たち】Part2
・【コンパニオンプランツの活用】庭やベランダの家庭菜園を守ろう!
・お庭やエクステリアで見つけてみよう!【遊べる!使える!雑草たち】
・【外構・お庭の雑草対策】敵を知ってうまく付き合おう!
【関連記事 外構・エクステリア】
・【寒さが厳しくなる前に!】エクステリアやお庭の冬支度
・外構・エクステリアをワンランクアップ!【アプローチ編】
・【外構・お庭の陽射し対策】日除けの種類と利用方法!
・【香川県の外構・エクステリア工事】香川ならではのメリットを紹介!
・ガーデン・エクステリアでできる最新の防犯対策
・エクステリアデザインとは?おしゃれな外構のコツとポイント
・【エクステリア・外構プランの考え方】計画前のコツとポイント!
・【エクステリアのメリットとは?】外構がマイホームにもたらす効果!
・【エクステリアとは?】外構工事前に知っておきたい5つのポイント
【関連記事 庭・ガーデン】
・【外構・お庭の陽射し対策】日除けの種類と利用方法!
・【タイルテラスのメリットと活用方法】庭にもう一つのリビングを!
・【庭をつくるメリットと素敵な使い方!】
・【愛犬が快適に過ごせる庭造りのコツ!】
・【庭にアウトドアリビングを!】ウッドデッキのある上質な暮らし方
・【家で過ごそう!】お庭で楽しむお勧めリフレッシュ方法
【 Profile 】
アルテデザインガーデン株式会社
代表 栗林 宏行
ガーデン・エクステリアの設計施工の専門店【アルテデザインガーデン】代表。
これまで5000件以上の案件の設計を手掛けてきた経験から、トレンドに流されない本質を極めたデザインを提案するためADG Arte Design Gardenを設立 。香川県高松市を拠点に、大阪・兵庫・京都・徳島など他府県の物件も多数手掛た実績を持つ。一般住宅の外構・庭デザインを中心に商業施設ガーデンスペース・公園・街並み計画の他、過去には外構・エクステリア業界紙『月間 エクステリアワーク』表紙イラストの作画を担当。