【アルテデザインガーデンの植物図鑑】アロニア
エクスエリア・ガーデンやランドスケープデザインに欠かせないものと言えば、植物ですよね。世界中には20万から30万種(学者により種の分類方法が変わりますのでおおよその数とお考え下さいね)の植物があると言われています。そこから日本の気候に合うものや地域の環境に合うもの、植えたい場所の特性にマッチした植物を選び出すとずいぶん数が減る訳ですが、それでもまだまだたくさんの種類があり、自分のお庭に合うものを探すのはなかなか大変ですよね。そんな困りごとの手助けになればと、このブログでは外構やお庭に植えるのにおすすめの植物を【アルテデザインガーデンの植物図鑑】として掲載していきます。
育てやすくて、かわいい花と果実と紅葉を楽しむことができて、さらにその果実は栄養豊富なスーパーフードと呼ばれている…そんな樹木があると知ったら皆さんどうしますか?そんなすてきな樹木があるならお庭に植えたくなりますよね!
実は、今回ご紹介する「アロニア」がそんなすてきな樹木なんです!アロニアの果実にはポリフェノールや食物繊維が豊富に含まれていて、特にポリフェノール量はブルーベリーの3倍以上もあるそう!もちろんお庭やエクステリアに植える樹木としても優秀。枝葉の少ない自然樹形やそれぞれの季節ごとに変化する姿はとても趣があってお庭づくりには重宝される存在なんです。このブログでは「アロニア」の特徴や育て方を詳しくご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【もくじ】
【① アロニアの基本情報】
【② アロニアの特徴】
【③ アロニアを美味しく食べるには】
【④ アロニアの育て方】
【⑤ まとめ】
【① アロニアの基本情報】
〇科属名 バラ科アロニア属
〇園芸分類 落葉低木
〇花期 4~5月
〇耐寒性 非常に強い。北アメリカやロシアで栽培されている。
〇耐暑性 強い
【② アロニアの特徴】
北アメリカ原産の落葉低木「アロニア」は、日本の風土で育てやすく四季に合った変化を楽しむことができる庭木。また成長が緩やかで暑さ寒さにも強いので、とても育てやすいんです。枝葉が少なくひょろっと曲がったような樹形は1本で魅せるシンボルツリーとして使うのではなく、何本かの雑木と合わせて自然風な庭を演出するのにおすすめ。また、下枝の少ない落葉樹(アオダモなど)に寄せて植えることで、樹木が絡み合うような自然の風景を作り出すことも可能です。また、アロニアは秋の紅葉が格別。地域差はあるものの、あまり環境や気温に左右されずに紅葉してくれますよ。
私たちが簡単に手に入れることができるアロニアは2種類。この2種類で大きく違うのは果実の色。その他にも花や樹形も若干の違いが見られます。
赤い実を付けるのが「アロニア・アルブティフォリア」。
この赤い実は食用ではなく観賞用。果実が赤く熟していくのに合わせてるように紅葉も進むため、秋の鮮やかさが格別な品種です。梨の花に似ていると言われるその花は少しピンクがかった小さめの繊細な花。枝ぶりや葉の付き方がナチュラルで庭木として馴染みやすいのはこちらの品種です。
スーパーフードと呼ばれる栄養豊富な黒い果実を付けるのが「アロニア・メラノカルバ」。
その白くてかわいらしい花は少し大き目で、雄しべの濃いピンクが目立ちます。9~10月の収穫期にはしっかりとした粒の黒い果実が鈴なりになり、繊細な枝が大きくしな垂れてしまうほどです。「アルブティフォリア」に比べると葉が大きく光沢があり、枝ぶりもしっかりとしています。
【③ アロニアを美味しく食べるには】
栄養豊富なアロニアの果実、収穫できたらすぐに食べたいですよね。でも生のまま食べるのはちょっと待ってください!!アロニアの別名「Chokeberry(チョークベリー)」のチョークをどういう意味か調べてみると…「むせさせる」「息を詰まらせる」。なんだか聞き捨てならない言葉が並んでいます。そう、アロニアはその豊富な栄養素であるポリフェノールのせいでChoke(むせる)ほど渋くて苦いのです。
アロニアを美味しく食べる為には「渋抜き」が必要。簡単な渋抜き方法としては、まず収穫した果実を冷凍します。これを完全に自然解凍し水分をふき取り再度冷凍します。この作業を3回ほど繰り返すことで渋みを抜くことができますよ。生食の場合は上記のようにしっかりと渋抜きをした方が良いでしょうし、ソースやジュースにする場合は渋みを残した方が良い場合もありますので、慣れてきたら使い方によって渋抜きの加減を変えてみるのも良いですね!
おススメの食べ方はジャムや果実酒。ヨーグルトや牛乳と一緒にミキサーにかけてスムージーにするのもおいしいですよ。調理するのが面倒だという方は、蜂蜜を絡めてそのまま食べたり、ヨーグルトに数粒だけ加えて食べるのが簡単です。ただし、栄養豊富だからといって過剰に摂取することは控えて適度に食べるようにしましょう。また妊婦の方や授乳中の方が摂取する場合はかかりつけのお医者さんに相談するようにしてくださいね。
【④ アロニアの育て方】
【④-1 植え付け・植え替え】
暑さ寒さに強いアロニアは植える場所をあまり選びませんが、あまりにも日光の当たらない場所では実付きが悪くなってしまいますので、できれば日当たりの良い場所を選ぶようにしましょう。また、枝が細く繊細な為絡みやすいことと実が落ちやすくなることから強い風があたる場所も避けたほうがよいでしょう。
植え付けの適期は11~3月ですが、気温が安定する2~3月頃に植えるのが良いとされています。土に腐葉土や有機肥料を混ぜ込んで植え付けるようにしましょう。
【④-2 水やり】
アロニアは根がつくまでは乾燥が若干苦手です。植え付け後2年ほどで根がしっかりと張ってきますので、そうなれば降雨のみの水分で育ちます。ただし6月~7月の高温期と果実が成長する時期が重なりますので、この時期は水切れを起こさないように注意が必要です。
【④-3 剪定】
生育が緩やかな上に、自然樹形を生かした雑木のような雰囲気が特徴のアロニアですので、剪定はほとんど不要です。剪定を行う場合は落葉後の12月から2月頃までに行いましょう。古くなった枝や重なり合っている枝などを根元から切ったり、絡まっている枝を外して整えてあげるようにしましょう。また、株元や株元から少し離れた位置から出る枝が毎年伸びてきますので、作りたい形状に合わせて勢いのある枝のみを残し弱い枝は根元から切り取るようにしましょう。
【④-4 肥料】
アロニアは瘦せ地でも育つ植物ですので、植え付け時に腐葉土と肥料を混ぜ込んでおけば肥料は必ずしも必要ではありません。翌年の実付きの為に果実収穫後に有機肥料を与えたり、寒肥として有機肥料を与えるなど植木の状態に合わせた肥料を施すようにしてください。
【④-5 病気・害虫】
目立つ病害虫はありません。
【④-6 夏越し・冬越し】
耐暑性、耐寒性はどちらも強く特別に必要な作業はありません。
【⑤ まとめ】
いかがでしたでしょうか。
「アロニア」の果実ってどんな味がするのか気になってきましたよね!?
お庭に植えて実が収穫できるまで待てない!という方はネット通販で冷凍のアロニアの果実が手に入りますよ。先に味を確認してから樹木を購入して育ててみる、という順番で楽しむのも良いですよね!もうそろそろ暖かい日も増えてきて、様々な樹木や草花の植え付けに適した時期がやってきます。今年の春のガーデン計画には是非「アロニア」を取り入れてみてくださいね!
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【 Profile 】
アルテデザインガーデン株式会社
代表 栗林 宏行
ガーデン・エクステリアの設計施工の専門店【アルテデザインガーデン】代表。
これまで5000件以上の案件の設計を手掛けてきた経験から、トレンドに流されない本質を極めたデザインを提案するためADG Arte Design Gardenを設立 。香川県高松市を拠点に、大阪・兵庫・京都・徳島など他府県の物件も多数手掛た実績を持つ。一般住宅の外構・庭デザインを中心に商業施設ガーデンスペース・公園・街並み計画などデザイン性の高い物件を得意とする。