【アルテデザインガーデンの植物図鑑】ペニセタム(ペニセツム)
エクスエリア・ガーデンやランドスケープデザインに欠かせないものと言えば、植物ですよね。世界中には20万から30万種(学者により種の分類方法が変わりますのでおおよその数とお考え下さいね)の植物があると言われています。そこから日本の気候に合うものや地域の環境に合うもの、植えたい場所の特性にマッチした植物を選び出すとずいぶん数が減る訳ですが、それでもまだまだたくさんの種類があり、自分のお庭に合うものを探すのはなかなか大変ですよね。
そんな困りごとの手助けになればと、このブログでは外構やお庭に植えるのにおすすめの植物を【アルテデザインガーデンの植物図鑑】として掲載していきます。
アルテデザインガーデンが作るお庭に彩りと動きをプラスしてくれているのが、今回ご紹介したい「ペニセタム(ペニセツム)」です。ペニセタムは猫じゃらしのようなフワフワの穂を持つグラス類の植物。グラス類と言えば秋のイメージがありますが初夏から楽しむことができますし、品種によっては耐寒性のあるものもあるんです。
今回はお庭のポイント作りにピッタリの「ペニセタム(ペニセツム)」について詳しくご紹介していきますね!
【もくじ】
【① ペニセタム(ペニセツム)の基本情報】
【② ペニセタム(ペニセツム)の特徴】
【③ 様々なペニセタム(ペニセツム)の品種】
【④ ペニセタム(ペニセツム)の育て方】
【⑤ まとめ】
【① ペニセタム(ペニセツム)の基本情報】
〇科属名 イネ科ペニセタム(チカラシバ)属
〇園芸分類 多年草または一年草
〇花期 6~11月(品種による)
〇耐寒性 弱い(品種により耐寒性あり)
〇耐暑性 強い
【② ペニセタム(ペニセツム)の特徴】
「ペニセタム(ペニセツム)」の最大の魅力はなんといっても『花穂』ですよね!
フワフワとした毛に包まれた長い花穂は誰が見ても触りたくなってしまうもの。ペニセタムの花穂は、風に揺れたり日の光や雨粒にキラキラ反射したりと、周囲の情景を美しく演出してくれる効果があります。日本の秋の景色を代表するような趣深さを持つ品種があるかと思えば、深い紫色でお庭やエクステリアをシックで現代的に彩ってくれるような品種もある。とても幅広いデザイン性を持つ植物と言えます。このような特徴からペニセタムは「オーナメンタルグラス」などとも呼ばれ、庭やエクステリアを演出する上で効果的な植物として重宝されています。
流通しているものの多くは熱帯・亜熱帯地域に自生しているため寒さには弱い傾向がありますが、暑さには強く夏前から冬の間にぐんぐん成長してくれます。花の少ない夏から秋にかけてお庭の楽しみを作り出してくれますよ。
【③ ペニセタム(ペニセツム)のオススメ品種】
ペニセタムには様々な種類がありますので、その中からオススメの品種をご紹介。耐寒性がなく一年草扱いになるものが多いのですが、中には耐寒性の強いものもあります。植える場所や育て方をイメージしながら品種を選ぶようにしましょう。
【③-1 ペニセタム・セタケウム・ルブラム】(パープルファウンテングラス)
「ペニセタム・セタケウム・ルブラム」は花苗屋さんで一番よく見かけるペニセタム類になるかもしれません。別名の「パープルファウンテングラス」という名前の方が良く見かけるかも。葉っぱ・茎・穂など株全体がシックな紫色。他の植物との組み合わせを楽しんだり、白壁やRC壁を背景に植え込んでも美しく見栄えがします。
ただしこちらの品種は寒さに弱く地植えでの冬越しは難しく、1年草扱いと考えた方が良いです。それでも毎年植えたくなるほど魅力的なのがこの品種なんです。成長がとても早いので夏前に植え込めば、寒くなるまでの間にどんどん成長して見せ場を作ってくれますよ!
【③-2 ペニセタム・ビロサム】(ギンギツネ)
別名が「ギンギツネ」と呼ばれているこの「ペニセタム・ビロサム」は、キツネの尻尾のようなかわいい穂が魅力。茎や葉は明るい緑で細く華奢な印象。草丈は50センチ程にまで成長します。穂は白く毛足が長め、ふっくらとしてかわいらしくお庭をぱっと明るくしてくれるような軽やかさがありますよ。
こちらの品種、耐寒性はありますが冬場には地上部が落葉します。春にまた芽吹いてきますのでご安心くださいね。
【③-3 ペニセタム・アロペクロイデス】
「ペニセタム・アロペクロイデス」は、後述する日本自生種のチカラシバに近い品種で耐寒性が強く性質も丈夫。アロペクロイデスの中にもいくつかの品種がありますが、この写真は「ペニセタム・アロペクロイデス・リトルハニー」という品種。
穂は小さめで毛足もまばら。その感じが野性的でナチュラルガーデンにはピッタリの雰囲気です。日本の気候に合いやすい性質で、高温多湿にも耐えられるのが嬉しいところ。草丈は20~40センチとコンパクトにまとまるところも人気の秘密かもしれません。
【③-4 チカラシバ】
北海道から九州まで自生している「チカラシバ」。皆さんも必ず見掛けているはずですが、風景に馴染みすぎて日本では雑草扱い…。趣のある姿が海外では受け入れられ、観賞用に多く栽培されているようです。自生している植物ですので、日本の気候にはもちろんぴったり。どんどん増殖するということはなく、毎年同じ場所にだいたい同じ量が生えてくるという嬉しい性質も。
このチカラシバの穂は写真のようなブラウンが通常ですが、緑白の爽やかな穂を持つ「アオチカラシバ」という種類もあるそう。雑草扱いされていますのでなかなか店舗に出回るということは無いようですが、道端でひょっこり見つけることができるかもしれませんね!
【④ ペニセタム(ペニセツム)の育て方】
【④-1 植え付け・植え替え】
植付けの適期は4~6月。できるだけ日当たりが良く、水はけの良い場所に植え付けるようにしましょう。日照時間が少ないと、徒長・花が咲かない・葉色が褪せるなどが起こる場合がありますので気を付けるようにしてくださいね。
【④-2 水やり】
地植えの場合は、根が付けば水やりはほとんど必要ありません。土がカラカラに乾いたときだけ与えるようにしましょう。鉢植えの場合は土が乾いたらたっぷりと水をやるようにしてください。戸外で冬を越す場合、秋に気温が低下してきたら徐々に水やり回数を減らし冬季の水やりはほとんど必要ありません。
【④-3 剪定】
剪定は特に必要ありませんが、古い葉や枯れた葉があれば付け根から切り取るようにしましょう。葉の縁がするどく手を切ってしまうこともありますので、作業時の手袋は必須です。
【④-4 肥料】
特に肥料は必要ありません。
【④-5 病気・害虫】
特に目立つ病害虫はありません。
【④-6 夏越し・冬越し】
暑さには強いので夏越しの対策は不要です。冬越しについては、育てている品種の耐寒性の有る無しを確認し対策を行うようにしましょう。ポイントは水をほとんどやらない事と、凍結させないこと。凍結してしまうと来春の芽吹きは期待できません。
落葉後はマルチングで覆うなどの対策を行うようにしましょう。また、耐寒性の無い品種は1年草と割り切って、来春に再度植え付けるようにしましょう。
【⑤ まとめ】
いかがでしたでしょうか。
お庭やエクステリアをちょっとオシャレに演出したいときや、お隣さんとは少しだけ違う個性を出したいときに重宝するのが今回ご紹介した「ペニセタム(ペニセツム)」。やっぱりあの『花穂』が最大の魅力なんですよね。自宅のお庭のどこかにあのフワフワが揺れていると思うとなんだかワクワクしてきませんか?寒い時期だからこそ、ゆっくりと来春のガーデニング計画を練ってみてくださいね。
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【 Profile 】
アルテデザインガーデン株式会社
代表 栗林 宏行
ガーデン・エクステリアの設計施工の専門店【アルテデザインガーデン】代表。
これまで5000件以上の案件の設計を手掛けてきた経験から、トレンドに流されない本質を極めたデザインを提案するためADG Arte Design Gardenを設立 。香川県高松市を拠点に、大阪・兵庫・京都・徳島など他府県の物件も多数手掛た実績を持つ。一般住宅の外構・庭デザインを中心に商業施設ガーデンスペース・公園・街並み計画などデザイン性の高い物件を得意とする。