【アルテデザインガーデンの植物図鑑】ハクサンボク
エクスエリア・ガーデンやランドスケープデザインに欠かせないものと言えば、植物ですよね。世界中には20万から30万種(学者により種の分類方法が変わりますのでおおよその数とお考え下さいね)の植物があると言われています。そこから日本の気候に合うものや地域の環境に合うもの、植えたい場所の特性にマッチした植物を選び出すとずいぶん数が減る訳ですが、それでもまだまだたくさんの種類があり、自分のお庭に合うものを探すのはなかなか大変ですよね。そんな困りごとの手助けになればと、このブログでは外構やお庭に植えるのにおすすめの植物を【アルテデザインガーデンの植物図鑑】として掲載していきます。
今回ご紹介するのは「ハクサンボク」。
山の中で太陽の光を浴びて葉がツヤツヤと照る様子から「ヤマテラシ」と呼ばれることも。光沢のある美しい葉と、たくさん群生する白い小花が印象的な常緑の低木です。庭や花壇の植栽計画を考えているときに、ちょっとした間をつないでくれる優秀な樹木で、周りに程よく馴染みながら葉・花・実など季節ごとの見せ場を提供してくれますよ!そして何よりも頼もしいのが、秋冬にも葉っぱが残る常緑樹であること。これって本当にありがたいですよね!このブログでは「ハクサンボク」の特徴や育て方を詳しくご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね!
【もくじ】
【① ハクサンボクの基本情報】
【② ハクサンボクの特徴】
【③ 花と実が美しいガマズミ科の仲間】
【④ ハクサンボクの育て方】
【⑤ まとめ】
【① ハクサンボクの基本情報】
〇科属名 ガマズミ科ガマズミ属
〇園芸分類 常緑低木
〇花期 3~5月
〇耐寒性 若干弱いが関東以西では庭木で育つ
〇耐暑性 強い
【② ハクサンボクの特徴】
常緑で育てやすい「ハクサンボク」には特徴がたくさん。春に咲く白い花は小さな星の集合体のようでとても可愛らしく可憐ですし、秋には赤い実を付けます。「ヤマテラシ」という呼ばれ方もあるほどツヤのある濃い緑色の葉っぱは、気温が下がると紅葉もしてくれるんです!また、流通はまだ多くないものの、葉に白い斑の入る「斑入りハクサンボク」という種類もあります。もしお店やインターネットで見つけたら珍しい品種ですので、ぜひ栽培にチャレンジしてみてくださいね。
そんな良いところばかりのハクサンボクですが、実は独特の匂いがあることもお話ししておかないといけません。
春先になるとどこからともなく青い葉をすりつぶしたような青くさい匂いを感じたことはないでしょうか?それがハクサンボクの独特の匂いです。春を感じる匂いだという人もいれば異臭だという方もいますし、さほど気になるものではないという意見もあります。香りって人によって全然感じ方が違いますので、もし気になる場合は購入する前に花苗屋さんや植物園などで香りを確認してみてもよいかもしれませんね。
【③ 花と実が美しいガマズミ科の仲間】
今回ご紹介している「ハクサンボク」はガマズミ科ガマズミ属の植物なんですが、その仲間にはお庭に取り入れやすい種類が他にもありますので、いくつかご紹介したいと思います。いずれも花や実が美しいのが特徴ですが、品種により常緑と落葉に分かれていたり樹高が違ったりと様々です。お庭やエクステリアのどの部分に取り入れたいかで、品種を選んでみるのも面白いですよ。
【③-1 ビバーナム・ティヌス】
ハクサンボクと同じように常緑樹ですが、成長しても背丈は2メートルほどの「ビバーナム・ティヌス」。小さな花が群生するところもそっくりなのですが、花のつぼみがかわいらしいピンク色をしているのが特徴。花が咲く前のつぼみが群生している様子もとっても映えるんです!そして、もう一つの違いが実の色。ハクサンボクの実は赤色でしたが、こちらは濃い紫色でちょっと楕円形。シックな色合いが人気でフラワーアレンジメントやリースなどの材料としても人気ですよ!
【③-2 ビバーナム・ダビディ】
ビバーナム・ティヌスとよく似ているのですが、さらに背丈が小さくおさえられるのがこの「ビバーナム・ダビディ」。おおよそ80センチくらいまで成長します。お花と実が可愛いのは言わずもがなですが、ダビディの特徴はその細長い葉っぱ。濃い緑のすっきりとした葉は花壇で緑のボリュームが欲しいときにピッタリ!
【③-3 ガマズミ】
山地や丘陵地の明るい林や草原に生えている「ガマズミ」。こちらはこれまでご紹介したものと違って落葉低木です。でもその学名は「Viburnum dilatatum」
これまでご紹介した種類と同じビバーナムという学名がついていますので、同じ仲間だという事がわかりますよね。同じ仲間でも常緑と落葉があるってなんだか不思議ですよね。白くふんわりとした花と赤い実はやはり季節を感じることができて他と同様美しい品種です。落葉樹ですので、葉のツヤはあまりありませんが、野趣あふれる雰囲気を持った清楚な姿はお庭のわき役に最適ですよ。
【④ ハクサンボクの育て方】
【④-1 植え付け・植え替え】
日当たりを好みますが半日陰くらいならOK。植え付けの時期は新芽が出る前の11月から3月頃がおススメです。放任すると樹高が2から6メートルになりますので、どれくらいの大きさに育てたいかをイメージしながら植え付け場所を選ぶようにしましょう。
【④-2 水やり】
植え付けた後に根付くまでは水やりが必要ですが、一旦根付いてしまえば自然に降る雨だけで十分に成長します。ただし夏場に雨が降らず乾燥が続く場合には水をあげるようにしてください。
【④-3 剪定】
刈込に対して強くよく芽吹きますが、自然樹形でも形が整うので頻繁に剪定することは必要ありません。とはいえ、大きくなるのを抑えたい場合には冬に剪定を行うようにしましょう。さらに大きさを調整したい場合には、花後も軽く切り戻しておきましょう。
自然樹形で育てる場合でも、枝が混んでくると風通しが悪くなってしまい病害虫を発生させる原因となりますので、邪魔な枝や不格好な枝を間引くことである程度風通しを良くしてあげてくださいね。
【④-4 肥料】
ハクサンボクは比較的、肥料を好む樹木です。与える時期は、花が咲き終わったあと夏に向けて枝が伸びる5月頃と冬の寒肥。緩効性の肥料を与えるようにしましょう。
【④-5 病気・害虫】
比較的病害虫に強い樹木ですが、風通しが悪いとアブラムシやハマキムシ、カイガラムシといった害虫が発生することがあります。発生したらすぐに対処することが大切。日頃から様子をしっかりと観察するようにしましょう。また、植木の風通しが悪くならないように適宜剪定を行うようにしましょう。
【④-6 夏越し・冬越し】
山口県及び九州地方、伊豆諸島、小笠原諸島を原産とすることからも分かるように、もともと暖かい場所を好む植木です。若干寒さには弱いものの関東以西では庭木としてもよく使用されていますので特に冬越しの準備は必要ありません。夏越しについても特に準備は必要ありません。
【⑤ まとめ】
いかがでしたでしょうか。
実は、私たちプロでも「あれ?常緑樹で感じの良い木ってどんなのがあったかな?」とたまに悩んでしまうことがあるんです。そんな時に今回ご紹介した「ハクサンボク」や第③章の中で取り上げた「ビバーナム・ティヌス」や「ビバーナム・ダビディ」はとっても頼りになる存在。
シンボルツリーの邪魔にはならないけれども、季節ごとの見どころを携えたこの低木はどんなテイストのお庭にも合わせることができますよ。下枝の少ない高木の近くに植えてみたり、花壇の背景のボリュームアップに植えてみるなど取り入れ方を考えるのも楽しいですよね。
皆さんのアイデアでお庭のここぞという場所にハクサンボクを植えてみてくださいね!
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【 Profile 】
アルテデザインガーデン株式会社
代表 栗林 宏行
ガーデン・エクステリアの設計施工の専門店【アルテデザインガーデン】代表。
これまで5000件以上の案件の設計を手掛けてきた経験から、トレンドに流されない本質を極めたデザインを提案するためADG Arte Design Gardenを設立 。香川県高松市を拠点に、大阪・兵庫・京都・徳島など他府県の物件も多数手掛た実績を持つ。一般住宅の外構・庭デザインを中心に商業施設ガーデンスペース・公園・街並み計画などデザイン性の高い物件を得意とする。