【アルテデザインガーデンの植物図鑑】ベニバナトキワマンサク
エクスエリア・ガーデンやランドスケープデザインに欠かせないものと言えば、植物ですよね。世界中には20万から30万種(学者により種の分類方法が変わりますのでおおよその数とお考え下さいね)の植物があると言われています。そこから日本の気候に合うものや地域の環境に合うもの、植えたい場所の特性にマッチした植物を選び出すとずいぶん数が減る訳ですが、それでもまだまだたくさんの種類があり、自分のお庭に合うものを探すのはなかなか大変ですよね。
そんな困りごとの手助けになればと、このブログでは外構やお庭に植えるのにおすすめの植物を【アルテデザインガーデンの植物図鑑】として掲載していきます。
ある街で、街路樹の足元にすっきりと長方形に刈り込まれた上品な植え込みを目にしました。その葉っぱは小さめで丸くて赤みを帯びたシックな銅葉で、歴史のあるその街にピッタリの雰囲気を醸し出しており、気になってすぐに調べたことを覚えています。その植物が今回ご紹介したい「ベニバナトキワマンサク」です。
上品な葉色とびっくりするほどビビットな花色が対照的で個性的なベニバナトキワマンサクは、エクステリアやお庭におしゃれ感を演出してくれるポイントツリーに最適!その特徴や育て方についても詳しくご説明しますので、ぜひ今後の庭づくりの参考にしてみてくださいね!
【もくじ】
【① ベニバナトキワマンサクの基本情報】
【② ベニバナトキワマンサクの特徴】
【③ ベニバナトキワマンサクの仲間】
【④ ベニバナトキワマンサクの育て方】
【⑤ まとめ】
【① ベニバナトキワマンサクの基本情報】
〇科属名 マンサク科トキワマンサク属
〇園芸分類 常緑中高木
〇花期 4月~5月
〇耐寒性 普通
〇耐暑性 高い
【② ベニバナトキワマンサクの特徴】
「ベニバナトキワマンサク」の花を初めて見た人の感想は「ん?これって花なの!?」と思うかもしれません。少し人工的にも思えるほどの鮮やかなピンク色で細くてひょろひょろして、まるで紐みたいなんです。でも春にその枝先にいっせいに花を咲かせる様子は、他には無い個性であふれています!
そんな特徴的な花に目が行きがちな「ベニバナトキワマンサク」ですが、実は花が咲いていない時期の銅葉がとっても上品でシック。他の植物の緑色の中に1本植えてあげるだけでよく映え、庭や花壇のポイントとなってくれるんです。
樹形は自由奔放。ひょろひょろと縦に長いものから、横にふわりと広がるものまで様々です。コンクリートのデザインウォールやウッドフェンスを背景にしても大変見ごたえがありますよ。次章『ベニバナトキワマンサクの仲間』でも少し触れていますが、ベニバナトキワマンサクの基本種は新葉が赤く、その後緑色になりますので夏ごろには全体が緑葉になります。園芸品種では、通年赤い葉の種類もありますので、使いたい場所や雰囲気に合わせて選らんでみてくださいね。
【③ ベニバナトキワマンサクの仲間】
鮮やかなピンク色の花がチャームポイントの「ベニバナトキワマンサク」ですが、実は白い花を咲かせる「トキワマンサク」という種類もあります。どちらも自然な樹形が魅力で、ピラピラとたなびくリボンの様な花が楽しめます。シーンによって使い分けができるとベストだと思いますので、ここではベニバナトキワマンサクの仲間を少しご紹介します。
【③-1 トキワマンサク】
通年緑色の葉でクリーム色がかった白色の花を咲かせるトキワマンサクの基本種です。育て方や特徴はベニバナトキワマンサクと同様ですが、比較的寒さには強いとも言われています。ベニバナトキワマンサクほどの個性派ではありませんが、爽やかな雰囲気とナチュラルな樹形がトキワマンサクの持ち味。
エクステリアやお庭の素材を邪魔することなく、他の植物とも馴染みが良いという点ではとっても使いやすい樹木です。
【③-2 トキワマンサク・花吹雪】
こちらは品種改良されたトキワマンサクで、白・ピンク・赤の3色の花が一緒に咲くという珍しい品種で、葉は通年緑色。とっても華やかで可愛らしい品種ですが、流通はまだ少ないようです。また、木が若いうちは花色が白に偏りやすいようなので3色がきれいに楽しめるようになるまでは気長に待った方が良いかもしれませんね。
実はベニバナトキワマンサクにも、通年銅葉のものと新葉だけが赤みがありそれ以外は緑葉という2種類があるんです。どちらもベニバナトキワマンサクの名前で流通していることが多いので、こだわりのある場合には葉色まで確認のした上で購入されることをお勧めします。ただし、通年銅葉の品種も先祖返りといって生育中に緑葉に戻ってしまうこともあるようです。
【④ ベニバナトキワマンサクの育て方】
【④-1 植え付け・植え替え】
暗い日陰以外の場所なら育ちますが、花をたくさん咲かせたい場合にはなるべく明るい場所に植え付けるようにしましょう。
【④-2 水やり】
植えて2年未満の株には。土の表面が乾いたらしっかりと水をあげるようにしてください。それ以降は自然降雨だけで十分ですが、雨が少なく土が乾く状態が続くときには水をたっぷり与えるようにしてあげてください。
【④-3 剪定】
自然な樹形を楽しむことができる樹種ですので、見た目を整える為の剪定は特に必要ありません。ただし生育旺盛ですので放任しているとどんどん大きくなってしまいます。あまり大きくしたくない場合には、花の咲き終わり~遅くとも6月中には希望の大きさまで剪定するようにしましょう。その際は、剪定後にまた枝が伸びることを計算に入れて形を決めるようにすると失敗しにくいですよ。
またベニバナトキワマンサクの花芽は短い枝に付きますので、剪定は長く伸びすぎた枝や徒長枝を中心に枝の付け根から切り取るようにしましょう。
【④-4 肥料】
元々が生育旺盛ですので積極的に肥料を与える必要はありません。より旺盛に育てたい場合には寒肥として2月頃に有機質肥料を株元周辺に埋めておくようにしましょう。
【④-5 病気・害虫】
ベニバナトキワマンサクは病害虫の少ない樹木ですが、梅雨時期などの湿気の高い季節に葉が混んだ状態にしておくと風通しが悪くカイガラムシが発生する場合があります。カイガラムシは成虫になると殻が固く殺虫剤が効かなくなってしまいますので、早期発見がポイントですよ。
【④-6 夏越し・冬越し】
夏越し、冬越しの準備は特に必要ありません。冬場に急激に温度が下がると多少葉を落とし半常緑気味になることもありますが、特に心配はありません。
【⑤ まとめ】
いかがでしたでしょうか。
以前に比べればカラーリーフプランツもメジャーにはなってきましたが、やはり緑色ではない植物を取り入れるのはちょっとハードルが高い!?でも、だからこそ1本取り入れてみるとあなたのお庭やエクステリアの雰囲気がグッとおしゃれに感じ良くなりますよ。そんな時に、まず最初の1本に選んでほしいのが今回ご紹介した「ベニバナトキワマンサク」。
常緑で葉と花が楽しめ、生育旺盛なのでちょっと切り過ぎでもOKな丈夫さは初心者ガーデナーにはうってつけかもしれません。通年赤みのある葉の種類と、新葉だけに赤みがあるという2種類から選べるというのも良いですよね。ちょっと見飽きてしまったお庭の風景にぜひ加えてみてくださいね!
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【 Profile 】
アルテデザインガーデン株式会社
代表 栗林 宏行
ガーデン・エクステリアの設計施工の専門店【アルテデザインガーデン】代表。
これまで5000件以上の案件の設計を手掛けてきた経験から、トレンドに流されない本質を極めたデザインを提案するためADG Arte Design Gardenを設立 。香川県高松市を拠点に、大阪・兵庫・京都・徳島など他府県の物件も多数手掛た実績を持つ。一般住宅の外構・庭デザインを中心に商業施設ガーデンスペース・公園・街並み計画などデザイン性の高い物件を得意とする。