【アルテデザインガーデンの植物図鑑】ツリバナ
エクスエリア・ガーデンやランドスケープデザインに欠かせないものと言えば、植物ですよね。世界中には20万から30万種(学者により種の分類方法が変わりますのでおおよその数とお考え下さいね)の植物があると言われています。そこから日本の気候に合うものや地域の環境に合うもの、植えたい場所の特性にマッチした植物を選び出すとずいぶん数が減る訳ですが、それでもまだまだたくさんの種類があり、自分のお庭に合うものを探すのはなかなか大変ですよね。そんな困りごとの手助けになればと、このブログでは外構やお庭に植えるのにおすすめの植物を【アルテデザインガーデンの植物図鑑】として掲載していきます。
アルテデザインガーデンが造るお庭やエクステリアの中で、高木と高木の隙間や抜け感を演出したいスペースに植わっていることが多い植物、それが「ツリバナ」です。よく言えば『ふんわり』悪く言えば『ひょろり』とした華奢な立ち姿は、ツリバナが持つ独特の樹形です。春に咲く小花や秋になる赤い実も可愛らしく、身近で小さな四季を楽しむことができる植木。そこで、今日はこの「ツリバナ」についてご紹介します。特徴や育て方も詳しく説明していますのでぜひ参考にしてみてくださいね!
【もくじ】
【① ツリバナの基本情報】
【② ツリバナの特徴】
【③ お庭に取り入れやすいニシキギ属の仲間】
【④ ツリバナの育て方】
【⑤ まとめ】
【① ツリバナの基本情報】
〇科属名 ニシキギ科ニシキギ属
〇園芸分類 落葉小高木
〇花期 5月~6月
〇耐寒性 高い
〇耐暑性 高い
【② ツリバナの特徴】
北海道から九州まで日本各地の山地に自生する「ツリバナ」は花や実が垂れ下がるようになる様子からその名が付けられたそう。日本全国に自生しているので、日本の気候にはとても合っている樹木です。暑さや寒さなどの環境を気にすることなくお庭やエクステリアに取り入れることができるので、ガーデンデザイナーにとってもありがたい樹木なんです。
「ツリバナ」の良いところは育てやすいだけではありません。自然で野趣あふれるやわらかな樹形、秋の紅葉や小さくて白い花。それからなんといっても吊り下がる赤い実です。5~6月に咲いた花が終わると、盛夏からまだ緑色の実がなり始めます。それが秋になると真っ赤に色付き…ある日くす玉が割れたかのようにパカっと開き種が吊り下がります。
冬に落葉したあとも実が残る様子は風情もありつつどこか可愛らしくも感じられますよ。ツリバナのポイントとも言える果実ですが、アルカロイドという成分が含まれており少量でも摂取すると嘔吐や下痢を引き起こすそうですので、間違っても口に入れないように注意してくださいね。
庭木としてのツリバナの背丈はおおよそ2~3メートルくらいまで成長します。シンボルツリーというよりは、その横に添えるようなサブツリーとして植えるとツリバナの良さが最大限に生かせるのではないでしょうか。
【③ お庭に取り入れやすいニシキギ属の仲間】
「ツリバナ」が属するニシキギ科ニシキギ属にはお庭やエクステリアに取り入れやすい樹木が結構多いんです。ツリバナと同じように紅葉が美しく実を楽しむことができ樹形も自然に整いやすい落葉樹から、生垣に使えるような常緑樹までバリエーションが豊富です。ここではその中から代表的な樹種を3種類ご紹介します。
【③-1 ニシキギ】
錦のような紅葉が美しいことからその名前が付いた「ニシキギ」。秋になると葉が深い紅色に色付きとても見ごたえがあります。また、若い緑色の枝にはコルク質の翼がありとっても特徴的!生け花の材料としても重宝されているんです。生け花ほど堅苦しく考えなくても、家の中で花瓶に挿すだけでも絵になりますよ。
【③-2 マサキ】
厚みと光沢感のある葉が特徴の「マサキ」は生垣に使われていることが多いのでご存じの方もおおいかもしれませんね。でもこちらは他のニシキギの仲間とは違って常緑です。同じ仲間でも常緑と落葉に分かれるというのは、とても興味深いですよね。マサキには鮮やかな黄色い斑入りの「キンマサキ」や乳白色の斑が入る「ギンマサキ」など種類も豊富です。使いたい場所に合わせて葉色を選べるのが嬉しいですね
【③-3 マユミ】
古くから弓の材料として使われていたことから「マユミ」という名前が付いたそう。マユミとツリバナはその見た目がとっても似ています。ついつい混同してしまうことが多いのですが、花や実をじっくり観察するとその違いが分かります。ツリバナの花びらは5枚で熟した実も5つに割れます。それに対してマユミの花びらは4枚、熟した実も4つに割れます。
【④ ツリバナの育て方】
【④-1 植え付け・植え替え】
ツリバナは日本各所に自生する強い木ですので、植え付け時期に神経質になる事はありません。植え付け場所は日当たりよりもできれば半日陰がおすすめです。日当たりが悪すぎると花や実の付きが悪くなってしまいますので、植える場所は最初にしっかり検討するようにしましょう。
【④-2 水やり】
植えて2、3年もすればしっかり根付きますので、自然に降る雨だけで十分に成長します。ただし山間の谷筋に多く自生しているツリバナですので、植木の中では水を好む種類です。
夏の猛暑や雨が降らない日が続く場合は土の状態を確認し、乾燥しているようであればたっぷりと水をあげるようにしてください。
【④-3 剪定】
ツリバナは生育が遅く、比較的自然に樹形が整う植木です。また病害虫に影響を受けることも少ないので小まめな剪定は必要ありません。冬に落葉した後に不要な枝を根元からカットする程度にしておきましょう。冬の間でも強い剪定を行うと花芽を落としてしまったり、株が弱る場合もありますのでツリバナの剪定はほどよく行うようにしてくださいね。
【④-4 肥料】
日本のそこかしこに自生している植物ですので、庭植えの場合も積極的に肥料を与える必要はありません。花や実付きをよくしたい場合には2月頃に油粕や化成肥料などの緩効性肥料を根元に混ぜ込んであげるようにしましょう。肥料を与えすぎると葉や枝ばかりが成長してしまい、逆に花や実付きが悪くなることがありますので気を付けるようにしましょう。
【④-5 病気・害虫】
特に目立つ病害虫はありません。
【④-6 夏越し・冬越し】
夏越し、冬越しの準備は特に必要ありません。夏の水やりには多少の注意が必要です。水やりについては「④-2水やり」の章を参考にしてみてくださいね。
【⑤ まとめ】
いかがでしたでしょうか。
お庭やエクステリアに緑が欲しいからと高木だけを数本植えてみたものの、なんだか味気無いし空間にもなじんでないなぁ…なんてことありませんか?
そんな時に検討してみてほしいのが今回ご紹介した「ツリバナ」や以前にブログでご紹介した「トサミズキ」などの自然樹形の中低木なんです。高木に沿わせるようにこれらの植木を配置するとちょとした小慣れ感が演出できますよ!
樹木の配置や組み合わせって簡単では無いのですが、色々と試行錯誤しながらぜひチャレンジしてみてくださいね!
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【 Profile 】
アルテデザインガーデン株式会社
代表 栗林 宏行
ガーデン・エクステリアの設計施工の専門店【アルテデザインガーデン】代表。
これまで5000件以上の案件の設計を手掛けてきた経験から、トレンドに流されない本質を極めたデザインを提案するためADG Arte Design Gardenを設立 。香川県高松市を拠点に、大阪・兵庫・京都・徳島など他府県の物件も多数手掛た実績を持つ。一般住宅の外構・庭デザインを中心に商業施設ガーデンスペース・公園・街並み計画などデザイン性の高い物件を得意とする。