【アルテデザインガーデンの植物図鑑-オージープランツ編-】バンクシア・コースト
これまで外構やお庭に植えるのにおすすめの植物を【アルテデザインガーデンの植物図鑑】としてたくさんご紹介してきました。中でも『オージープランツ』への注目度が高く一般の方の認知度もアップしてきましたので、【アルテデザインガーデンの植物図鑑-オージープランツ編-】として新たにまとめていくことにしました!
『オージープランツ』とは、オーストラリアを原産とする植物群の総称。数年前まではオリジナリティのある庭づくりをしている人や最新のデザインを取り入れたい商業デザインなど、一部だけで人気があったオージープランツ。近年のおうち時間増加からのガーデニングやインドアグリーンへの興味の高まりによって、人気が急加速!
特に人気のオージープランツと言えば「バンクシア」ですが、その中でも育てやすいのが今回ご紹介する『バンクシア・コースト』です。個性的な見た目で、じっくり眺めているとなんだか愛着も湧いてくるから不思議です。今回のブログでは『バンクシア・コースト』の特徴や育て方を詳しくご紹介!もうすでに育てている方も、これから育ててみたいなぁと思っている方もぜひ最後までご覧くださいね。
【もくじ】
【① バンクシア・コーストの基本情報】
【② バンクシア・コーストの特徴】
【③ エクステリアにバンクシア・コーストを取り入れよう!】
【④ バンクシア・コーストの育て方】
【⑤ まとめ】
【① バンクシア・コーストの基本情報】
〇科属名 ヤマモガシ科バンクシア属
〇園芸分類 常緑中高木
〇花期 4~6月・10月~11月
(気まぐれでこれ以外の時期にも花を咲かせる事はあります)
〇耐寒性 マイナス8度前後
〇耐暑性 強い
【② バンクシア・コーストの特徴】
『バンクシア・コースト』はオーストラリアの南東部の沿岸が原産地。
日本ほどはっきりしていないものの四季を感じられるような温帯気候の場所なので、日本の気候にも馴染みやすくバンクシア初心者の方におススメの品種なんです。バンクシアの最大の特徴とも言える大きなブラシのような花の色は大人しめのクリーム色。他のバンクシアに比べて上品な印象です。
『バンクシア・コースト』は葉っぱの色も魅力的!表面は濃緑色、裏面はマットな質感のくすんだグリーンでコントラストが何とも言えず今風の雰囲気。くすみカラーの外壁やコンクリート打放しの塀前に植えると映えますよ!
花も葉も日本の植物には無い雰囲気を持っているものの、カラーリングが落ち着いているせいかどんな場所にも合わせやすいのが『バンクシア・コースト』の良いところ。常緑樹のシンボルツリーとしてエクステリアやお庭のメインの場所に植えるのがおススメです。
咲くと嬉しいバンクシアの花。少し水揚げは悪いのですがしばらくの間なら切り花として楽しむことができます。ずっと水につけておくとカビが生えたりもしますので、ある程度楽しんだら水を抜いてドライにしてみましょう。もともと水分が少ない植物なので、簡単にドライフラワーにできます。スワッグやフラワーアレンジメントなどに変身させてインテリアを素敵に飾ってみてくださいね!
【③ エクステリアにバンクシア・コーストを取り入れよう!】
個性的でおしゃれな『バンクシア・コースト』ですが、我が家に取り入れる場合はどんな風にしたら良いのでしょうか…。
アルテデザインガーデンの施工実例でご紹介したいと思います。
①と②の2本の『バンクシア・コースト』が植わっているこちらのお宅。①が高さ約2メートルで②は約3.5メートル。②はこちらのお宅のシンボルツリーとしての役割を果たし、①は玄関近くで日々の季節感を感じさせてくれたり人の動線を明確にするような役割をしてくれています。
バンクシア・コーストは花や葉色に特徴のある樹木なので、多くの樹木が密集している場所に紛れて植えるよりは、写真のように建物外壁のすぐ前に植えてあげると良さがより引き立ちます。①は外壁の前ではありませんが背景に邪魔になる植木を植えていない為、姿形がきれいに認識できていますよね。
合せる植物もティーツリーやアガベなどドライな印象のものがベスト。栗石や砂利なども上手に使いながら、密集させずそれぞれの特徴がよく分かるような配置で植えてみましょう!
【④ バンクシア・コーストの育て方】
【④-1 植え付け・植え替え】
日当たりが良く、排水性の高い場所がおススメです。バンクシアは全般的に多肥を苦手とする植物ですので肥料を好む植物の近くには植えないように気を付けましょう。
また、バンクシアは「リグノチューバ」と呼ばれるボコッと膨れたコブを株の地際に作ることがあります。このリグノチューバができている場合にはその部分に土を被せずに植え付けるようにしましょう。
リグノチューバは山火事の多いオーストラリアで独自の進化をした再生器官のようなもので、植物の地上部分が焼け落ちたとしても地表面に近い部分にこの器官を携えておくことで、再び芽吹くことができます。ですので、調子の悪くなったバンクシアでも水をやり続けていると、このリグノチューバから新たに芽が出て再生することがあります。
【④-2 水やり】
バンクシアは過湿を嫌うのに水が切れるとすぐに調子を崩すというちょっと気難しい植物。その中で「バンクシア・コースト」は水の微妙な調整をそこまで気にしなくても大丈夫な種類です。特に地植えの場合は降雨があれば定期的な水やりは必要ありません。
春から夏の成長期に土が乾いているようであれば水をしっかり与えるようにしましょう。
【④-3 剪定】
『バンクシア・コースト』は流通しているバンクシアの中では大型品種。放任していると、特定の枝だけがぐんぐん伸びたりして樹形が乱れたり、幹がしっかりしていないと枝の重みで倒れやすくなることもあります。
バンクシアは剪定することによって分枝した場所から花芽を出すことが多いですので、様子を見ながら真冬や真夏を避けつつ年に数回は剪定を行うようにしましょう。
【④-4 肥料】
ほとんど肥料は必要ありません。肥料を与えたい場合には少し注意が必要です。バンクシアは「プロテオイド根」と呼ばれるリン酸の吸収能力が非常に高い根を持つ植物です。これはオーストラリアの痩せた大地でも少ないリン酸を吸収して育つことができるように発達したもの。
良かれと思ってリン酸分の多い肥料を与えたり、化学肥料が混ぜ込まれた培養土に植え込むと逆に生育が悪くなってしまいますので気をつけてくださいね。
【④-5 病気・害虫】
特に目立つ病害虫はありません。
【④-6 夏越し・冬越し】
関東以西で最低気温がマイナス8度前後の地域であれば地植えで問題ありません。
高温度・高湿度の夏でも問題なく成長してくれます。夏の水切れには注意するようにしましょう。
【⑤ まとめ】
特徴的な『バンクシア・コースト』の花。植えてすぐに楽しみたい!という方も多いかもしれませんが、花を咲かせるにはある程度環境に適応しつつ高さが2メートルを超えてこないとちょっと難しいかな…という感じです。
最初からある程度の大きさのものを植えるのも手ですが、小さいものからコツコツと気長に育てると花が咲いたときの喜びもひとしおですよ!
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【 Profile 】
アルテデザインガーデン株式会社
代表 栗林 宏行
ガーデン・エクステリアの設計施工の専門店【アルテデザインガーデン】代表。
これまで5000件以上の案件の設計を手掛けてきた経験から、トレンドに流されない本質を極めたデザインを提案するためADG Arte Design Gardenを設立 。香川県高松市を拠点に、大阪・兵庫・京都・徳島など他府県の物件も多数手掛た実績を持つ。
一般住宅の外構・庭デザインを中心に商業施設ガーデンスペース・公園・街並み計画などデザイン性の高い物件を得意とする。