【あえて低いデザインをプラス!】ローウォールが生み出す新しいバランス

外構や庭に壁をつくるとき、多くの場合はそこに分かりやすい目的があります。
道路からの視線を遮る目隠し壁。表札やポスト、インターホンを取り付ける門柱。敷地や空間を明確に分けるための壁。必要な機能から高さや長さを考えていくのが一般的な壁のつくり方です。
今回ご紹介する「ローウォール」は、そうした壁とは少し考え方が異なります。
目線を遮る高さではない。表札を取り付ける門柱として見れば、少し低い。構造上必要とされる以上に厚みを持たせることもある。
高さ・厚み・長さのバランスをいつもと少し変えることで、外構に印象的な水平ラインや心地よい違和感を生み出す。それがアルテデザインガーデンが得意とするローウォールです。
今回はローウォールの特徴や役割、実際の施工例をご紹介します。低い壁が住まいの見え方や庭とのつながりをどのように変えるのか、一緒に見ていきましょう。
【もくじ】
【① ローウォールとは】
【② ローウォールのバランス】
【③ アルテデザインガーデンの施工例】
【④ まとめ】
【① ローウォールとは】

ローウォールとは、その名のとおり高さを抑えた壁のことです。
一般的な目隠し壁は道路や隣地からの視線を遮るため、人の目線を受け止められる高さが必要になります。門柱も表札やポスト、インターホンを使いやすい位置に取り付けるため、ある程度の高さを持たせるのが一般的です。
一方でローウォールには、目隠し壁や門柱のような決まった使い方があるわけではありません。
低い壁をどこに配置し『どのような役割を持たせるのか』。そこに設計者の考え方が表れます。
ADGでは、ローウォールを空間の中に水平ラインをつくるデザインとして取り入れています。壁の向こうにある樹木や建物を見せながら足元にはひとつのまとまりをつくる。道路と庭や外構の境目を示しながら景色は途切れさせない。
すべてを隠したりはっきりと遮ったりするのではなく、空間を分けながらも、その先へと視線をつなげる壁として考えています。
使う素材もコンクリートだけとは限りません。打放しコンクリートや杉板型枠コンクリートのほか、石を詰めたガビオンでつくることもあります。
高さを抑えるという共通点はあっても素材や仕上げ、厚みや長さによってその佇まいは変わります。
どこにどのくらいの大きさでつくるのか。その場所に合うバランスを考え、低い壁に役割を与えること。それがADGの考えるローウォールデザインです。
【② ローウォールのバランス】

ローウォールは、ただ壁を低くすればよいわけではありません。
高さを抑えると壁の天端面が見えるため、正面だけでなく厚みや長さも含めたひとつの形として感じられます。そこにしっかりと厚みを持たせることで、低くても足元に安定感のある佇まいが生まれます。
ADGでは建物や庭の規模、道路からの見え方、周囲の樹木、壁に持たせる役割に合わせて、高さ・厚み・長さの関係を考えています。
門柱としては少し低いかもしれない。強度を保つためだけなら、ここまで厚くなくてもよい。そんな一般的な門柱や目隠し壁とは少し異なるバランスが、ローウォールならではの印象をつくります。
すべてが想定どおりにまとまったデザインよりも統一感の中にほんの少しだけ違和感があることで、住まい全体が印象に残るとADGは考えています。
ただし、変わった形にすること自体が目的ではありません。
いつもと違うバランスでありながら建物や庭の景色にはきちんとなじんでいる。その場所に最適な寸法を探すことが、ローウォールをデザインするうえで大切だと考えています。
【④ アルテデザインガーデンの施工例】

ここからは、アルテデザインガーデンで実際に施工した外構事例をもとに、ローウォールの取り入れ方をご紹介します。
【④−1 表札を取り付ける門柱として】
まずはローウォールを、表札を取り付けるための門柱として使った施工例です。
一般的な門柱よりも高さを抑えて横方向へ長く伸ばすことで、表札を取り付けるための壁でありながら外構全体を構成する水平ラインとして見せています。

こちらは、打放しコンクリートと杉板型枠コンクリートという二つの素材を使って左右に門柱を配置。平滑で端正な打放しコンクリートと木目の凹凸が残る杉板型枠コンクリート。同じコンクリートでも仕上げを変えることで、色を増やさずに表情の違いをつくっています。
奥の低い壁へ表札と照明を設け、手間の壁にはポストとインターホンを取り付けました。素材と高さ、明るさに差をつけることで空間にメリハリを創出しています。

こちらは杉板型枠コンクリートのローウォールを採用。
壁の高さを抑えることで、背後にある建物を隠しません。杉板模様のある壁が建築基礎部分を程よく覆うことで、足元に落ち着いた量感をつくり玄関へ向かう景色の一部になっています。
【④−2 建築と外構の境目をあいまいにする】
次は、外構で設置したウォールを建築に溶け込ませるデザインの施工例です。
外構の構造部鬱に余計な素材や切り替えを増やさないことで、どこまでが建築でどこからが外構なのか…その境界をあいまいにしています。
ウォールを独立した要素として目立たせるのではなく、建物から続く構造物かのように見せる考え方です。
また、照明の選び方によっても印象が変わります。

壁の下部にバーライトを仕込めば、長い水平ラインが光によって強調され建物と外構のつながりが分かりやすくなります。

スポットライトを使う場合は、光の濃淡によって素材がより色濃く映し出されます。
どのような照明を選ぶかで同じローウォールでも夜の景色の仕上がりが変わってくるのです。
【④−3 つながる緑の景色】

表札を取り付け、門柱としての役割を持たせたローウォール。訪れた方にはここが住まいの入り口であることはきちんと伝わります。
高さを抑えているのは、壁の後ろにある庭空間をあえて見せるため。道路際の芝生からローウォールの足元に植えた植物、その奥にある芝生の庭まで緑が途切れずにつながって見えます。
門柱を高くすると庭の緑が壁の後ろで分断されてしまいますが、壁を低くすることで、必要な機能を持たせながら枝葉や芝生の広がりを道路側からも感じられるようにデザイン。
壁を目立たせるのではなく緑の中になじませる。ローウォールだからこそできる、空間のつなぎ方です。
【④−4 庭をゆるやかに仕切る】

庭の中には同じ敷地であっても用途の異なる場所があります。人が通る場所、植物を眺める場所、家族で過ごす場所。そうした領域を分けたいときにもローウォールを使うことができます。
こちらの事例では、広い庭の規模感に合わせて通常よりも厚みのあるローウォールを設けました。壁を高くして完全に仕切るのではなく低い位置にしっかりとした量感をつくることで、それぞれの場所の違いをやんわりと感じさせています。
規模の大きな庭では通常のバランスで壁を設けても、周囲の景色に負けてしまうことがあります。この場所では厚みをしっかりと持たせることで、広い庭を受け止められる安定感をつくり出しました。
【④−5 ガビオンでつくるローウォール】
ローウォールはコンクリートだけでつくるものではありません。ワイヤー製のカゴに石を詰めたガビオンも、高さを抑えて使うことで空間をゆるやかに区切る壁になります。

こちらのお宅では、駐車スペースの背後に低いガビオンを配置。車が止まる場所とアプローチの間に、ローウォールと植栽で境界をつくりながらも視線や景色は遮りません。

こちらの事例では、道路と広いオープンスペース(駐車場)との間にガビオンのローウォールを設けました。
モデルルーム兼事務所という性格上、訪れた方が入りやすい雰囲気は残したい。一方で、道路と敷地の境界はきちんと伝える必要があります。そこで、圧迫感を感じさせない位置と高さで、ガビオンというひとつの塊を置くことで不用意な立ち入りはやわらかくおさえています。
どちらの事例でも自然石の素朴な表情が、空間によくなじんでいることがお分かりいただけると思います。景色を遮るほど高くはない。それでも壁があることで場所の違いはきちんと伝わる。ローウォールはそのようなデザインも可能にしてくれます。
【⑤ まとめ】

一般的な壁と比べれば、少し変わったバランスに見えるローウォール。
けれど、その少し変わったバランスが建物の水平ラインを受け止めたり、庭の緑をつないだり、用途の異なる場所をゆるやかに分けたりするという役割を担うことができます。
ADGでは決まった寸法や形をすべての住まいに当てはめるのではなく、建築や周囲の景色を見ながらその場所に合う形を考えています。
特別なものをつくろうとするのではなく、いつものバランスからほんの少しだけはみ出してみる。
はじめは小さな違和感かもしれません。でも、一歩引いて住まい全体を眺めたときには、この場所だからこその心地よい佇まいになる。
そんなローウォールの取り入れ方も外構デザインのひとつとして覚えていただけたら嬉しいです。
【関連記事 植栽・グリーン】
・【庭に新しい魅力を!】オシャレで個性的な南アフリカ原産の植物
・【庭やベランダで育てたハーブの利用方法】料理やドリンクに使ってみよう!
・【香りのする植物に癒されよう!】フレグランスプランツ『低木編』
・【香りのする植物に癒されよう!】フレグランスプランツ『高木編』
・【フレグランスプランツ】香りのする植物で心地よい庭づくり
・【エクステリアや庭をおしゃれに!】ドライガーデンに合う植物たち
・【冬のエクステリア・ガーデンを彩る】寒さに強い草花や植物たち
・植えっぱなしで大丈夫!【庭を彩る秋植え宿根草・多年草】
・庭で育てる!【秋植え野菜のプランターガーデニング】
・【知っているようで意外と知らない!?】庭の水やりをマスターしよう!
・お庭やエクステリアで見つけてみよう!【遊べる!使える!雑草たち】Part2
・【コンパニオンプランツの活用】庭やベランダの家庭菜園を守ろう!
・お庭やエクステリアで見つけてみよう!【遊べる!使える!雑草たち】
・【外構・お庭の雑草対策】敵を知ってうまく付き合おう!
【関連記事 外構・エクステリア】
・【洗練された外構デザインに!】杉板型枠コンクリートの実例紹介
・【おしゃれでスタイリッシュ!】宅配ボックス付き機能門柱
・玄関アプローチでエクステリアをおしゃれに!映えるコツとデザイン例
・【寒さが厳しくなる前に!】エクステリアやお庭の冬支度
・外構・エクステリアをワンランクアップ!【アプローチ編】
・【外構・お庭の陽射し対策】日除けの種類と利用方法!
・【香川県の外構・エクステリア工事】香川ならではのメリットを紹介!
・ガーデン・エクステリアでできる最新の防犯対策
・エクステリアデザインとは?おしゃれな外構のコツとポイント
・【エクステリア・外構プランの考え方】計画前のコツとポイント!
・【エクステリアのメリットとは?】外構がマイホームにもたらす効果!
・【エクステリアとは?】外構工事前に知っておきたい5つのポイント
【関連記事 庭・ガーデン】
・実例でご紹介!【中庭のある上質な暮らし】
・【外構・お庭の陽射し対策】日除けの種類と利用方法!
・【タイルテラスのメリットと活用方法】庭にもう一つのリビングを!
・【庭をつくるメリットと素敵な使い方!】
・【愛犬が快適に過ごせる庭造りのコツ!】
・【庭にアウトドアリビングを!】ウッドデッキのある上質な暮らし方
・【家で過ごそう!】お庭で楽しむお勧めリフレッシュ方法
【 Profile 】
アルテデザインガーデン株式会社
代表 栗林 宏行
ガーデン・エクステリアの設計施工の専門店【アルテデザインガーデン】代表。
これまで5000件以上の案件の設計を手掛けてきた経験から、トレンドに流されない本質を極めたデザインを提案するためADG Arte Design Gardenを設立 。香川県高松市を拠点に、大阪・兵庫・京都・徳島など他府県の物件も多数手掛た実績を持つ。一般住宅の外構・庭デザインを中心に商業施設ガーデンスペース・公園・街並み計画など、デザイン性を伴う作品を得意とする。









